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ACTIVITIES -課題と取組-

狙われている子どもたち

少し注意してみていると、子どもが性犯罪の被害者になる事件が毎日のようにあります。被害にあった子どもとまったく繋がりのない他人も含め、教師、警官、保育士、塾教師、親など子どもにとっての絶対的な権力者の位置にいる人間がしばしば性犯罪の加害者になっています。

いくつかの報道の例

報道されるのは性犯罪事件のごく一部であり、しかも性犯罪は事件化する割合が日本では非常に低いと言われています。その結果、一般人が知ることが出来るのは、氷山の一角と考えるべきでしょう。調べ始めると、「子どもたちを守る」という素朴な願望がさまざまな問題に囲まれていることが分かってきました。有志たちとのディスカッションを繰り返す中で、問題を次のとおりに分類しました。

1. データの問題

まず、子どもたちが被害者となる性犯罪のデータ取得がとても困難であることが分かりました。報道される記事が網羅的でないのは明らかです。たとえ、事件になる割合が少ないとしても、警察や裁判所が元データに一番近いところでしょう。これもあちらこちらを調べ、問い合わせた結果を要約すると、ほぼ閉ざされています。大原則は裁判は公開されていなければいけないのですが(憲法82条)、例外規定があり、非公開にできます。刑事訴訟法でも原則として、訴訟記録は閲覧できるのですが(刑事訴訟法53条)、これも例外として非公開にできます。大雑把にいうと、加害者の人権の保護が考慮されているからですが、それでは被害者である子どもの人権、もしくは被害に遭うかもしれない子どもの人権の保護はどうなるのかという問題が出てきます。加害者の人権と被害者である子どもの人権の衝突がここにあります。これ以上の法的な話はこちらにまとめていますので、関心のある方はそちらをご覧ください。

2. 被害者ケアの問題

性犯罪の被害にあった子どもたちはその後の生涯で身体的・精神的なダメージを背負って行かなければいけない。それをできる限り軽減する公的制度があるべきですが、そもそも事件として公式に被害者として認められる割合が少ないので、可視化されない被害者がそのようなケアを受けられる可能性はほぼないでしょう。これもデータが必要な問題であり、政治の問題として解決策を作る必要があります。

3. 再犯の問題

性犯罪事件を調べていて目立つのは、同じ加害者がなん度も性犯罪を繰り返す例です。ここに性犯罪の量刑の問題があります。加害者が数年の禁固刑のあと、社会に出てきて同様の性犯罪を繰り返すということが起きています。次の④の自力防衛の問題に繋がりますが、最初のXのポストで言及したアメリカのアプリというのは、加害者の「性犯罪者登録簿」への登録がデータベースになっています。それに加えて、性犯罪者は禁固刑からの釈放後、GPSを足首に外れないように装着されます。この位置情報がマップ上に現れ、一般人がスマホやコンピュータで簡単に知ることが出来るという仕組みです。このような再犯防止策は日本にはありません。

4. 自力防衛の問題

子どもたちを守る責任は第一義的には保護者にありますが、国にも国民を保護する義務があります。すべての国民は、個人として尊重され、生命、自由及び幸福を追求する国民の権利は、政府が立法その他の国政の上で最大の尊重をしなければいけないと日本国憲法(第13条)は規定しているので、子どもたちを守る責任は国にもあります。しかし、言うまでもなく、今まさにこの問題に取り組もうとしている理由が、国による保護が十分じゃないということを証明しています。つまり、現状では保護者たちは、いわば自衛策を講じて子どもたちを守らざるを得ないということです。その自衛の一助としてアプリの作成があります。
アプリの問題:アプリを作ることに技術的問題は何もないということが分かりました。アメリカで性犯罪歴のある人の場所を特定するアプリがいくつもあるのは、それを可能にする法的・制度的体制があるからです。日本はまずこれを解決しない限り、子どもの保護者たちにとって有益なアプリは出来ません。

5. 子どもからのSOS

4.自力防衛の問題では、保護者による防衛が必要である旨をのべていますが、ことはそう簡単ではありません。子供がうける性犯罪被害は、家族、親戚、学校の先生、塾の先生といった顔見知りによる犯行が想像以上に多いのです。本当なら守るべき大人による犯行に子どもたちは立ち向かっていかなければなりません。子どもが発するSOSをキャッチすることも必要ですし、頼るべき保護者に頼れない子どもたちは自分自身が自衛をしていかなくてはなりません。

子どもを性犯罪から守るため、性犯罪歴のある人の居場所を知ることができる地図アプリを作れないかというきっかけではじまったこのプロジェクトですが、データがなければアプリを作っても意味がありません。ただそのデータの取得が非常に困難であることがわかりました。

プロジェクトでは、一般の私たちが情報を得るための法制度の問題、そしてデータの問題について調査します。

法的・制度的問題を明らかにする

全体的方針

これは、上の 1. データの問題で書いたように、既に相当に分かってきましたが、必要なことは、加害者の人権を守ることが重要であるとしても、子どもたちがのびのびと安全に生きていく人権(憲法13条)が侵害されているという事態を整理し、どこをどうすれば改善できるのかを明らかにすることです。アメリカであのようなアプリを可能にした法理はどんなものであったのかも研究して活かすべきです。ある段階でそれを、我々の代表である立法府の国会議員にバトンを渡して仕事をしてもらう必要が出てくるでしょうが、その下準備を保護者たちが力を合わせて行うということです。

アウトプットー報告書

上記の 1. から 4. に関する問題を徹底的に追求してまとめる。法的・制度的な問題が関わってきますので、根本的な解決は、ある段階で政治家が動かなければいけないでしょう。この報告書というのは、彼らにバトンタッチをするためのバトンです。

手に入るデータで出来ることをする

全般的方針

手に入るデータは限られているとしても、全然無いわけではありません。報道されているデータだけでも、保護者ならば、どこで何が起きたか、たとえ性犯罪加害者のリアルタイムの居場所が分からなくても、あるいは実名や顔写真がなくても、知っていたいものです。既に公にされている情報だけでも、データベース化して1箇所に集中させ、保護者たちがいつでもアクセス出来るようにすることには意味があるでしょう。出来ることをするというのが方針です。

アウトプットーハブサイト構築

このウェブサイトには二つの役割を果たすことを期待しています。一つは、上記 1. – 4. に関する調査研究を順次公開していく、子どもたちに対する性犯罪に関する情報のハブとしての役割です。公開することによって、それに関しての新たな情報や知見が集まることを期待しています。

もう一つの役割は、手に入るデータで出来ることをする場としての役割です。既に実験的に作った、このようなマップに新しい情報を手に入りしだい追加し続けることによって、現時点で可能な情報共有を保護者たちにすることが出来ます。同時に、将来作ることを予定しているアプリに先行してユーザーのフィードバックを得る機会にもなります。

<実験中:MAPはこちらから